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18年9月のツーリング


冒頭から私事で大変恐れ入ります。昨年9月のツーリングでお客様に試乗させていただいたGSX-R1000Rを、勢い余って買いました。お客様にバイクを売り付けたのに、「コレいいぞ乗ってみろ」と逆セールスされ、感動した勢いでホイホイ購入するバイクショップ営業担当です。しかし、手足が短い上に寄る年波の筆者にはポジションがキツイ。とりわけ渋滞は苦しいの。だから今日のコースは伊豆スカイラインよ。だって富士山に行くと帰りの東名が渋滞なんだもん。

そう目論んでいた昨晩、YZF-R1のU田ちゃんからLINEで打診があった。「明日はどこ行くんですか?また片瀬白田で刺身定食食べたいな。」それを一周に付す。「明日のお昼はぷくぷくさんです。」ぷくぷくさんは伊豆スカ冷川の蕎麦屋だ。すると「了解です!お蕎麦モードにマップ切り替えました。」と即答。保身のためにコースを剪定する筆者には、彼の高性能が神々しい。


さて、国府津パーキングに集合したのは7名。何人来るのかどこへ行くのか当日までわからないという、闇鍋のごときショップツーリングに違和感を感じていない7名。決して鈍感だとかのんきだとかではなく、彼らのスキルの高さが生む余裕なのである。と、べんちゃらをつかうのは若干の後ろめたさからだが、今日はぜひ、皆さんにGSX-R1000Rを試乗していただきたい目的もある。そのために昨日大急ぎで初回点検を終えたのだ。



「マーマ、これ買って!」M田ちゃん、それは食べられませんよ。



箱根新道から十国峠の最短ルートで伊豆スカイライン熱海峠料金所。雨が降ったらしく所々残るウェット路面を、まだ夏を諦めきれない日差しが片っ端から蒸発させていく体感湿度90%の蒸し暑さ。しかし、3連休を控えてか道路は空いており快適。



ここから一気に冷川のぷくぷくさんまで走ります。
R1氏とパワーズM田が先行して見えなくなり、その後ろでM1100S氏と筆者が楽しいランデブー走行。
後方からGSX-S1000F嬢と、そのお尻を眺めながらスクーターRV200i のお気楽ツーリングパワーズ社長。
そして、しんがりはもう一台のGSX-R1000R氏。

途中、シフトミスで挙動不審のM1100S氏にまとわりつく、うっとうしい走りの筆者。「道具が良ければ技術などいらん。アナタまかせで付いて行けるんじゃあ!フハハハ」と、声に出して言ってみた。インカムなど付けていたら後で報復に遭うのは間違いない暴言である。かと言って、筆者はこの200馬力の30%を使うのがせいぜいなので、M1100Sの前には出るのは難しい。まとわりつくのが精一杯だ。こうして、自他共に認める宝の持ち腐れを具現化していく。

一方、先行していたSV650のM田はR1のU田ちゃんを見失い、見ず知らずの単気筒氏と一緒に走行。「単気筒氏は上手でした。」と感心しながらぷくぷく到着。
ほどなくS1000F嬢とパワーズ社長、R1000R氏も到着し、お昼ご飯と相成る。






お座敷を畳からフロリングにリニューアルしたぷくぷくさん。掘りごたつ式テーブルは、近年腹に食い込む革パンに優しいです。



筆者のしいたけ蕎麦に危機が及んでいるのはともかく、隣で誤ったものに箸を付けようとしているM1100S氏を見逃すのは、人としてどうかと思うのです。



マップを蕎麦モードに切り替えたU田ちゃんの食べっぷりにはさすがと言わざるを得ません。
食後には、美味しいコーヒーも出るぷくぷくさん。いつもありがとうございます。バイク談義も盛り上がります。


ご飯の後はバイク取り換っこ大会で天城高原料金所まで。


M田はM1100Sに、M1100S氏はR1に、R1氏はGSX-R1000Rにそれぞれコンバート。モデルによって特性は大きく違うけれど、各々が大変魅力的です。筆者はM田のSV650の軽快さに感激。スリムで軽量な車体は自由度が高く、キビキビしたエンジンは回せる楽しさを提供してくれます。バイクの面白さはスペックに比例しないことが浮き彫りになる乗り換えでした。皆、サスペンションやエンジン特性などについて互いに話が尽きない様子。


再びバイクを入れ替えて亀石パーキング。今日は人数も少ないのでナルシストなライダーが大好きな「俺とバイク」撮ってみました。

ヤマハYZF-R1+U田ちゃん

MotoGPを観てイメージトレーニグし、夢の中ではロッシとバトルし、少年のように楽しそうにバイクに乗る。
ハードな味付けのスーパースポーツR1との相性が抜群だ。















ドゥカティM1100S+S川氏

いつもスタイリッシュでスマートなライディング。大人のライダーはこありたいと思わせる彼だが、私は知っている。小僧だった頃はMVXで煙と油を撒き散らしながら走ってました。
















スズキGSX-R1000R+T野氏

7年のブランクを経てリターンするのにこのモデルを選択する段階で、その趣向にはある程度察しがつく。今は奥様のライディングを向上させるべく、スパルタ教育中。お願い、もう少し優しくしてあげて。















スズキGSX-S1000F+M香ちゃん

大型バイクは初心者ですが、その成長は著しい。ご主人のスパルタ教育に耐えながら、楽しく練習中。いつも「怖いけど楽しい〜」と笑顔です。

















スズキGSX-R1000R+筆者

あと二つ三つ歳食ってたら、コレは買わなかったです。目も腰もついていきません。でも様々な電子制御装置が勝手に走ってくれるので筆者は上にくっついているだけでOKです。買ったとたんに「いつ売るの?」と聞かれます。何に乗ってもバイクが消耗しない、極上中古車メーカーたぁオレのことでさぁ。













パワーズ社長

RV200iと一緒に撮ろうとしたら、「RVやだぁ」とダダ。
このGSXに試乗して戻るなり、「コレずるいよー」とクレーム。
「じゃあ、帰りはRVとR1000と取り換えましょう。」と言ったら「帰りはやだよ、渋滞だもん。」ときっぱり。
「スクーターで来て、ワインディングで人のに乗るのがいいな。」って、そらそうだ。









スズキSV650+M田

黒いミニオンズのようなSV。車体が小さいせいか街で125ccに挑まれるらしい。「もちろん置き去りにしてやりましたよ!」と豪語するところが大人気ない。しかし確かに、スピードトリプルの時より速い。




















「俺とバイク」を撮って終わりではない。ツーリングには集合写真が欠かせないのである。
そこで、バイクの間にみんなも並列駐車してみた。


すると、集団土下座になってしまったので


縦の展開を加えてみた。するとどうだろう、見る見る一枚の集合写真は奥行と高さのある立体的な構図となり、静であるはずのバイクが人々の作り出す躍動の波に応えて呼吸を始めたかのような錯覚さえ覚える。ビザンツ帝国崩壊以来二つと見なかったこの傑作を後世に残すため、東京国立美術館に寄贈して…(背後からM田:調子に乗るな。筆者:はい。スミマセン。)


あーさて、空から落ちてきた小さな雨粒に追い立てられて、立体的躍動感の溢るるがままに、西湘バイパス橘パーキングまで戻って参りました。


今日はみなさん様々な機種に乗ってとても勉強になった意義深いツーリングでしたね。

とりわけライバル機種であるYZF-R1とGSX-R1000Rの加速感の比較については、「GSXは後ろから手のひらで肩をポンと叩くようだが、R1はチョップを入れてくる感じだ。」という、わかるようなわからないようなインプレッションに、ほぼ全員が「わかるぅ〜」と賛同したことで、R1=チョップという公式が成り立った。
どちらかの購入を検討している諸君の参考にしてもらえれば幸いである。