番外編
2019年正月ツーリング
(元旦~2日)
伊豆の定宿が廃業なさって、宿無しを理由に開催されなかった2017・2018年の正月ツーリング。
新しい宿を開拓するには厳しい条件が3つございました。
①原付で行ける範囲が限られている。②北上エリアは凍結や雪で危うい。③大広間で全員が寝れる修学旅行型の宿が少ない。
でも、よく考えたら重要なのは③だけじゃなーい?だって目的は宴会なんだもの!遠いならでっかいバイクで行けばいいし、雪なら車で行けばいいじゃないか。こうなるともはやツーリングでも何でもない。ただの飲み会である。
不純な動機で検索範囲を拡大したら、ありましたステキなお宿。静岡県梅ケ島温泉。横浜から約180キロ、標高概ね1000メートルの閑静な温泉地です。原付で行くにはちょっと遠いし天気が悪いと雪になるかも。誰もが内心「車かな」と高を括っていた2019年元旦は、快晴のバイク日和でした!はーい。
原付と言っても原付二種、125ですから車並みに走ります。ただ新東名に乗れないだけです。あ、西湘バイパスも、箱根新道も、静清バイパスも、あら?県道74号もダメみたい。うふふ、行き倒れちゃいそう。
例年より1時間早く早川に集合したメンバーは6名。原付二種は3台。アドレスV125が2台とランナーです。あとはバーグマン200、RV200i、MT-07ですから高速で行って現地集合でもよござんすよ?と提案したら「一緒に行くよーん。でも帰りは高速かも。」って、いいなぁズルいなぁ羨ましいなぁ。
MT-07を先導に出発。R135を熱海まで下り函南へ。熱海梅園の登りはアクセル全開のアドレスですが、後ろに渋滞ができそうな速度が精一杯。ランナーは観光バスの後ろから脱出できません。
しかし、函南から沼津までの混雑路はどんな乗り物より速いのです。沼津のコンビニさんで休憩。通行禁止の憂き目に遭う125のために、先導のMT-07くんはルート確認に余念がありません。
「もう三分の一走ったよ。意外に早いな。」と、日向ぼっこのパワーズ社長。最近「徘徊ツーリング」と称して一緒に温泉ツーリングを楽しんでいるバーグマン氏と、今夜の温泉を楽しみにしています。
途中、富士川の河川敷であっぱれな富士山をバックに新春ミッションを遂行します。正月ツーリング恒例、モジモジで西暦をこしらえよ!
澄み切った青空と裾野まで見渡せる雄大な富士山をバックに展開する、清々しい2019でございます。
こちらの「2019」はM田の美しく湾曲した”9”が決まっております。ゼロは若干”オーム Ω”になっとりますが、眩い日光を浴びて燦然と輝く2019でございますね。
おめでたい集合写真を撮っていたら、
いつの間にか消えていたM田。
コラー!どこで何をしていた!?
この日、M田と筆者は同じアドレスV125。
しかし筆者の初期型とM田の最終型には
排ガス規制によって加速パワーに差がある。
単純に、年式が古いほど速いのである。
増して小排気量車はライダーの体重も加速に大きく影響する。
彼は少しでも体重を軽くして、加速性能を上げる気だったに
ちがいない。
以下、H田先生の謎のポージングをクローズアップした集合写真4連発です。バーグマンと何を話しているのかな?
富士川河川敷から更に国道1号線をひた走り、お昼過ぎには清水に到着。原付通行禁止の静清バイパスを避け清水市街へ。ここでランチ難民になる。 元旦は休みの店が多いので、営業中のファミリーレストランは大混雑の1時間待ち。残された選択肢は牛丼チェーン店さん。日頃牛丼の機会が多いMTくんは「元旦から牛丼かぁ。」とため息をつくけれど、筆者は牛丼がすきや!ということで、牛丼でタイムロスもなく満腹になり、更に梅ケ島を目指して猛進します。
静岡市内から梅ケ島方面へ北上する県道74号は、途中からバイパスになり125cc以下は通行禁止。迂回のため住宅地を迷走しながら新東名をくぐる。
ここまで来れば阿部川沿いの県道29号、ワインディングの一本道登坂だ。
このSS区間では、今まで125にペースを合わせていたMTが全員を置き去りにて加速した。筆者アドレスはこれを追ってアクセル全開だが、これ以上一滴も出ない状態で離されていく。そこへ"アクセルを戻したら負け"のM田アドレスが続き、パワーズ社長RV200i が余裕の追従。疲れてイヤになっちゃったバーグマン氏はのんびりと走り、2ストのランナーくんは「ボクは煙いので」自粛して最後尾から。
そりゃあもうバラバラです。
山間の日陰の路面は、黒々として凍結防止剤の跡が浮かぶ。急激に気温が下がる中を独走していたM田は、宿の名前を知らないことに気付いて停車。のんきか!
M田に続いて路肩に停車したパワーズ社長が「多分この先だろ?」って、曖昧か!
でも大丈夫。宿の前でMTくんが手を振っているから。
そして、下道を200キロ近く走って到着しました、
梅ケ島温泉「力休」さん。
昔ながらの小さな旅館でこたつが最高。
まるで実家へ帰省したかのようにおくつろぎ。
「信玄の隠し湯」の一つとされる梅ケ島は徳川家康も湯治に来たらしい名湯で、とろみとわずかな濁りのあるぬる湯が絶品でございます。
お風呂で温まり一日の疲れを流したら、お待ちかねの晩御飯!鍋はシシ肉、ヤマメの塩焼き付き♪カンパーイ!
ところが、
さあ宴じゃ!という段になって、MTくん発熱。
年末から飲み会続きで限界がきたのか、8度3分の立派な熱で、ご飯も喉を通りません。
西暦モジモジ活動で彼は毎回 ”2” を担当しておりますが、今年の ”2” にはキレがなかったと思ったら、具合が悪かったんですね。
「明日バイクに乗れば治るから大丈夫。」って、
そうなの?!バイクに乗ったら悪化するんじゃない?普通。
彼のヤマメの塩焼きは、真ん中あたりに一箸だけむしって食べた跡があり、ろくに食べられなかったことが余程心残りだったのか、「ヤマメ…」とうわごとを繰り返しながら部屋の隅でこの有様。
宿の女将さんが冷えピタとかぜ薬をくださいました。
布団にくるまっているMTくんを横目に、正月恒例UNO大会(子供じゃないんだから、もちろん賭かってますよ!缶コーヒー)で盛り上がりはしたものの、たくさん走って疲れたせいか、宴もそこそこにあっけなく全員就寝。
そして、一晩寝ればケロッと元気になる子供のような体質のMTくん。
知恵熱か?知恵熱だったのか?
元気になるとヤマメへの執着が一層強くなり、
「また来る。すぐ来る。ヤマメ食べに来る。」と、思い詰めたように呟いておりました。
一夜明けて今日も快晴!出発のときバイクのシートは凍っていたけど、頑張って走らないとお家に着きません。宿を出て最初のコンビニでコーヒータイム。ちなみに最初のコンビニまでは1時間走ります。梅ケ島さん秘境ですね。
1月2日は帰省Uターンラッシュのピーク。わかっちゃいたけど東名高速は御殿場で大渋滞。だったら下道ってことで、6台一丸となって来た道を帰ります。怒涛の勢いで富士市までノンストップ。道の駅富士でトイレ休憩して、125速えーとか言って、とっとと出発。函南で給油した後、熱海から真鶴を経て根府川の「鈴樹」さんで「からみ餅」にありついたのは午後1時。
パワーズ社長とバーグマン氏とはここでお別れ。
「オレたち西湘乗るからさ。」
そう来ると思ったぜ。バイク取り換えてくだしゃい!
軽やかに手を振って走り去る、
自動車専用道路を利用できる人たち。
置いて行かれちゃった原付二種3台とMTくんは、
仲良くからみ餅やおしるこをいただきます。
ここで、謎のポージングH田先生が男を見せます。
「ここはオレのおごりだぁ。」
えええ?UNOのコーヒーはもういただきましたよ?
2ストは煙いから後ろ行け!とか言いましたが本気ではありません。正直、ちょっといい臭いと錯覚することもございます。
このような「本当にいいんですか?」的小さな抵抗はできるだけ短く済ませ、出資者が心変わりする前に声を揃えて「ご馳走様です!」と、退路を断つのが大人の礼儀であります。ご馳走様でした!
その後、本当にバイクに乗って元気になったMTくんは、西湘を使わず原付に付き合って国道1号線を帰りました。筆者は、西湘バイパス利用のパワーズ社長から30分遅れの午後4時に帰宅。実はそれほど変わりません。
2年振りの正月ツーリングは原付でも200キロ圏内はイケることを証明。でも距離が長いと、疲労で宴会がおろそかになることが判明。宴会目的のツーリングとしては本末転倒。正しくツーリングになっちゃった。それで良いようなイケナイような。
本年も皆さまと共にバイクで楽しく遊ぶことに精進して参ります。何卒よろしくお願い申し上げます。
追記:H田先生は年末に姉上を訪ね、正月は125でツーリングに行くとお話ししたところ、「もういい年なんだからやめなさい。」とたしなめられた。そんな姉上と筆者は同い年。右手にアドレスのアクセル豆ができとります。大変申し訳ございません。
追記の追記:みんなが知ってる安倍川餅は、当時金山で栄えた梅ケ島が徳川家康に献上した、「きな粉餅」が「金な粉餅」として喜ばれたのが発祥と言われております。梅ケ島には現在も金山跡が残っています。安倍川さらえば砂金が出るかも。