’15年7月15日 番外編ツーリング


 心に描くノスタルジーではなく、
 リアルでそれを楽しむ。
 それが、今回の番外編ツーリングだ。

 参加基準は案外厳しい。
 バイクが30歳以上か、
 あなたが50歳以上で2気筒以下のバイク。
 
 走りを味わうことが目的だ。





 この厳しい基準をクリアした
 4台のカワサキW1と、
 トライアンフ ボンネビルT100。
 美しい車体を並べて、外房まで
 海の幸を味わいに行くことにした。

 走りと海の幸、ダブルで味わう。
 W1で行くなら、
 ダブルで、ダブルで味わえる。

 陳謝。








この優美で味わい深いツーリングは、アクアライン、圏央道で木更津東。国道410号線
を南下し、県道160号へ入る。房総丘陵のなだらかなワインディングを楽しみながら、
県道177、82号を経て、国道128号線で外房の海に出会うコース。
目的地は江見のカネシチ水産さんである。



 トライアンフが正統派と謳う
 ボンネビルT100には、
 50年の伝統を受け継ぐ風格が漂う。

 あくまで上品な音色を奏でる、
 新型バーチカルツインエンジン。
 英国紳士のかほりがする。


一方、W1の連中は、
高速走行で手がシビれてしまう。
また、梅雨の合間の青空は想像以上に熱中症ビームを放出してくる。
そこで、道中はマメに休憩を取り水分補給を心がけた。




休憩場所の一つとして、月崎駅へ立ち寄る。
1967年に無人化となった小湊鉄道の駅で、映画やテレビのロケ地としても有名。




小さな駅舎を抜けると単線の線路。どこか遠くへ来てしまったような錯覚を覚える。


遠くへ来ただけならまだしも、こちらは昭和へタイムスリップしたような錯覚を覚える。



今日の参加モデルには、あまりにもドンピシャなロケーションである。
モノクロにして、「昭和45年に撮った写真です。」と言っても、誰も疑わないだろう。



しかし、彼らはただの懐古主義者ではない。
この’70年前後生産のモデルたちは、普段使いの現役なのである。
OHV空冷2気筒の、丸みを帯びた爆音を轟かせて、新緑の山里を駆け抜けていく。



 その姿を眺めていて、
 ふいに「単車」という言葉を思い出した。

 電子制御のパーツはないけれど、
 武骨な鉄の塊だけれど、
 40年以上経ってなお、
 凛々しく加速していくW1。

 また、伝統を受け継ぎ、新型でもそれを
 踏襲し、決してそのスピリットを失わない
 ボンネビル。



 今時、「バイク乗り」という言葉には、
 こだわり過ぎで排他的な響きがあると
 感じていたが、自然体で単車を楽しむ
 この人たちのことは、そう呼ぶのだと
 思った。

 そこには、彼らの少年の頃の
 憧れの片鱗さえ垣間見える。







 その爆音は、
 姿が見えない遠くからでも、
 バイクがやって来るとわかる。

 そういや
 「カミナリ族」って言葉もあったナ。









外海に面した内浦湾は、台風11号の影響で沖まで白く波立っていた。
強い風で舞い上がった潮の飛沫で街が白く煙り、空気中に海の匂いが充満している。
きゅ、旧車が錆びちゃう。



 勢いよく打ち寄せる波を見ながら
 国道128号をさらに南下。

 江見のカネシチ水産さんは
 高台にあるため、
 風や潮もだいぶ落ち着いていた。







ここは、新鮮な海の幸を安価で満喫できるお店。
お風呂も完備しているので汗を流したいところだが、
そこまでいくとビールの誘惑に勝てないので、
今日のところは大人しくランチをいただくに留める。










外へ出るとにわか雨だった。
海から内陸へと流れていく気まぐれな雨雲をやり過ごして出発した。
海沿いを南下し、県道186号を北上する。










 静かな山里の空気を振動させて、
 走っているだけで楽しい。












 掌がほど良いシビレをまとうころ、
 国道410号沿いの 酪農の里に到着。
 白牛で有名な、日本酪農発祥の地。
 お目当てはアイスコーヒーだったが
 販売していないとのことで

 ソフトクリームに変更。
 想像以上の絶品でした。

 提供は、この子でしょうか。









 ここへきて
 一番年上のバイク、W1Sに
 少量のオイル漏れ発生。

 この程度のトラブルは
 すでに織り込み済みであるが、
 全員が「明日は我が身」と
 思っている。






 慌てず騒がず、すぐに応急処置。

 それにしても、
 漁協のオヤジの
 ねじり鉢巻きを思わせる、
 大胆な応急処置である。









それでもオイルは流れ続け、410号を木更津まで戻ったときには
ねじり鉢巻きも限界を超えていた。高速に乗る前にガソリンとエンジンオイルを補充し、
いたわりながら走行しつつ、アクアラインで家路に着く。
アクアラインでは、もう一台のW1も煙を吐いた。







旧車を維持するのは決して楽ではない。究極の贅沢バイクかもしれない。
でも、もっと身近なところに、ノスタルジックなスタイルを再現した現行モデルもある。
いずれの選択でも、エンジンの鼓動を聞き、味わうツーリングがステキなのは、
彼らの笑顔で容易に理解できる。

また、起伏の少ない房総半島は、横浜からなら半日で訪れるのにお勧めなコース。
絹のような竹林の眺めが涼しげである。


次回は「オーバー・フィフティ・ボーイズ」と銘打って、また企画したいツーリングだが、
4気筒の新型で飛ばすオヤジを、どう避けるかが課題である。

「!」ってなった方、多分あなたです。